親が亡くなって実家を相続したんだけど、庭ってどうすればいいんだろう…建物のことで頭がいっぱいで、正直後回しにしてたんだよね。
実は庭の放置って、思った以上にリスクがあるんですよ。
越境した庭木の問題や、特定空き家に指定されるリスクとか…知らないと後で大変なことになりかねないんです。
えっ、庭だけでそんな話になるの?
相続放棄すれば関係なくなるんじゃないの?
それが、放棄後も管理義務が残るケースがあるんです。
2023年の民法改正でルールも変わっていて、知っておかないといろんな落とし穴にはまりやすいんですよね。
- 相続した家の庭で法律上どんな管理義務が生じるか
- 庭を放置したときの損害賠償・税負担・行政指導などのリスク
- 相続放棄後に管理義務が残る条件と2023年民法改正の内容
- 管理できない庭に対して取れる現実的な4つの選択肢
相続した家の庭に生じる管理義務とは


- 相続した瞬間から庭も「あなたの所有物」になり、管理責任が発生する
- 民法717条の工作物責任により、塀・擁壁の倒壊は所有者の無過失責任となる
- 2023年施行の民法改正で、越境枝は一定条件のもと隣人が自ら切除できるようになった
- 庭を放置すると損害賠償・近隣トラブル・特定空き家指定の3大リスクに直結する
相続した家の庭をどうするか最初に確認すること


相続が発生したら、まず庭の現状確認をしておくことをおすすめします。
ぼくも最初は「庭木があるな」程度にしか見ていなかったんですが、よく調べてみると隣の敷地に枝が越境していたり、擁壁にひびが入っていたりすることがあって……。それを知らずに放置し続けると、後で大変なことになるんですよね。
最初の現状確認が遅れるほど、トラブルが起きたときに「知らなかった」では済まされなくなっていきます。たとえば、越境している庭木を早い段階で確認して隣人に伝えておくだけで、後のトラブルを防げることがあります。逆に「気づいていたのに放置していた」という状況は、法律上も不利になりやすいんですよね。
相続直後に確認しておきたい8つのチェックポイント
- 庭木の枝や根が隣地の境界線を越えていないか
- 枯れた木や老木、高木など倒木リスクのある樹木がないか
- 擁壁や塀にひび割れ・傾きなど老朽化のサインがないか
- 雑草がどの程度繁茂しているか(草丈・面積)
- スズメバチの巣やネズミの巣穴など害虫・害獣の発生がないか
- 落葉・日照・異臭など近隣への影響が現在進行形で起きていないか
- 庭の散水設備がある場合の漏水・断水の有無
- 空き家になった直後に不法投棄が起きていないか
民法717条が定める庭の工作物責任


相続した庭には、民法717条(土地工作物責任)という法律が関係してきます。これは、土地の工作物の設置・保存に問題があって他人に損害を与えた場合、占有者や所有者が賠償責任を負うというルールです。庭にある塀や擁壁、石灯籠なんかが対象になります。
責任の順番としては、まず占有者(実際に使っている人)が第一次責任を負います。占有者が「損害防止に必要な注意をした」と証明できた場合は、所有者が第二次責任を負います。ただ、所有者は無過失責任といって、注意していたかどうかに関わらず責任を免れることができないんです。
つまり、相続した庭の塀や擁壁の状態が悪くて誰かに怪我をさせてしまったら、「知らなかった」という言い訳は通らない可能性が高いんですよね。ぼくも最初にこの話を聞いたとき、「そんな厳しいルールがあるのか」と驚いたんですが、所有者として財産を持つということは、それだけの責任が伴うということなんだと理解しました。
| 工作物の種類 | 具体的なリスク例 |
|---|---|
| 塀・フェンス | 老朽化による倒壊で通行人が怪我 |
| 擁壁・石垣 | 崩落による隣地・道路への土砂流出 |
| 石灯籠・庭石 | 転倒による来訪者への怪我 |
| 門柱・ポスト | 腐食・劣化による倒壊 |
| 庭の段差・階段 | 老朽化による転倒事故 |
だからこそ、相続直後の状態確認がとても大切になってくるわけです。特に擁壁や塀は、外から見ただけではわからないひび割れや内部の劣化が進んでいることもあります。気になる箇所があれば、建築士や専門業者に点検してもらうことも考えてみてください。
庭木の越境に関する2021年民法改正のポイント


庭木の越境については、2021年に民法233条が改正されて(2023年4月から施行)、ルールが大きく変わりました。これは相続した庭を持つ方にとって、かなり重要な変化なんですよね。
| 改正前(旧法) | 改正後(新法・2023年4月〜) | |
|---|---|---|
| 越境した枝 | 所有者に切除請求のみ(自ら切れない) | 3条件のいずれかで自ら切除可能 |
| 越境した根 | 自ら切り取り可能 | 変更なし(自ら切り取り可能) |
改正前は、隣地に枝が越境していても、越境された側の人は自分で枝を切ることができませんでした。できることは「庭木の所有者に切除を請求する」だけで、所有者が対応しなくても、越境された側は勝手に切れなかったんです。この状況は、特に空き家や相続後の管理不全物件では「所有者に連絡が取れない」「対応してもらえない」という問題を生んでいました。
新しいルールでは、以下の3つの条件のいずれかに当てはまれば、越境された側が自ら枝を切除できるようになりました(民法233条3項)。
- 竹木の所有者に催告したが、相当期間内に切除されない
- 竹木の所有者やその所在が不明
- 急迫の事情がある
庭を放置した場合に生じる3つのリスク


相続した庭をそのまま放置していると、具体的にどんなことが起きるのか。大きく3つのリスクに整理してみました。どれもけっこうシビアな話なので、ぜひ頭に入れておいてください。
庭の放置が引き起こす3大リスクがこちらです。
- 越境枝・倒木による損害賠償(台風で倒れた庭木が隣家の屋根を壊し約80万円を賠償した事例あり)
- 雑草・害虫発生による近隣トラブル(ネズミやゴキブリが近隣へ流れ込む・スズメバチの巣形成で駆除費用15,000〜50,000円)
- 特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大6倍・代執行・50万円以下の過料
| 段階 | 内容 | 主な影響 |
|---|---|---|
| 助言・指導 | 市区町村から通知が届く | 対応しないと次の段階へ |
| 勧告 | 改善を求める正式な通知 | 固定資産税の住宅用地特例が外れ最大6倍に |
| 命令 | 法的拘束力のある指示 | 従わないと50万円以下の過料 |
| 代執行 | 行政が強制的に処置 | 費用を所有者に全額請求 |
相続における庭の管理費用は誰が負担するか


相続人が複数いる場合、庭の管理費用は誰が負担するのか、これも気になるところですよね。遺産分割が完了する前は、相続した家は相続人全員の共有財産です。共有財産の管理費用は、各相続人が法定相続分に応じて負担するのが原則になります。
ぼくの知っているケースでも、長男がずっと費用を立て替えていたのに、他の兄弟が「合意していない」と返金を拒否して裁判になった……という話がありました。裁判では法定相続分に応じた負担が認められましたが、時間も手間もかかったそうです。
相続直後に費用分担のルールを書面で合意しておくことが、トラブルを防ぐうえでとても大切だと思います。「誰が管理するか」「費用はどう分担するか」「年に何回草刈りをするか」といったことを、できれば相続の話し合いのなかで決めてしまうのがおすすめです。
| 作業内容 | 費用目安(1回) | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 草刈り(30坪) | 15,000〜30,000円 | 年2〜4回 |
| 庭木の剪定(中木5本) | 30,000〜80,000円 | 年1〜2回 |
| 害虫駆除(スズメバチ等) | 15,000〜50,000円 | 必要時 |
| 空き家管理サービス(月次巡回) | 5,000〜15,000円/月 | 毎月 |
| 庭全体の草取り・整地 | 50,000〜200,000円 | 年1〜2回 |
これはあくまで目安です。実際の費用は庭の広さや状態、地域によって大きく変わるので、複数の業者に見積もりを取ることをおすすめします。年間トータルの費用感を相続人全員で共有しておくだけで、後の費用負担に関するもめごとをかなり減らせると思っています。
相続放棄後も家の庭の管理義務は残るのか


「相続放棄すれば全部終わり」だと思ってたんだけど、そうじゃないこともあるの?
そうなんです。庭を含む相続財産の管理義務は、放棄後も一定の条件のもとで継続することがあるんですよね。
2023年の民法改正で何が変わったのか、しっかり確認しておくことをおすすめします。
- 2023年民法940条改正で、放棄後の管理義務は「現に占有している場合」に限定された
- 同居・管理していた場合は、清算人に引き渡すまで管理義務が続く
- 放棄後も特定空き家指定のリスクは消えないため、早期に清算人の申立てが現実的
- 管理できない庭には業者委託・売却・国庫帰属制度・清算人活用の4つの選択肢がある
2023年民法940条改正で変わった管理義務の範囲


2023年4月に民法940条が改正され、相続放棄後の管理義務のルールが変わりました。この改正は、相続放棄を考えている方にとってかなり重要な内容なので、しっかり確認しておくことをおすすめします。
| 改正前(旧法) | 改正後(新法・2023年4月〜) | |
|---|---|---|
| 管理義務の発生条件 | 「相続人が他にいない場合」(解釈が曖昧) | 「放棄時に現に占有している場合」に限定 |
| 非居住・非管理だった場合 | 義務が生じる可能性あり | 義務が生じない可能性が高い |
| 義務の終了タイミング | 相続財産管理人が選任されるまで | 相続人または清算人に引き渡すまで |
改正前は「相続人が他にいない場合」という解釈が曖昧で、次の順位の相続人が放棄するかどうかわからない段階から義務が生じると解釈されることもありました。これが混乱を招いていたんですよね。
新しいルールでは、「放棄の時に財産を現に占有している場合に限り」、管理義務が継続します。言い換えると、相続放棄した時点でその家に住んでいない、庭の管理もしていない、という状態であれば、管理義務は生じない可能性があるということです。遠方に住んでいて実家には関わっていなかった、という方には朗報と言えるかもしれません。ただ、解釈によっては義務が生じるケースもあるので、判断に迷ったら弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
現に占有している場合に義務が継続する理由


たとえば、相続放棄した長男が、それまで実家に同居していて庭の草刈りなども行っていたとします。この場合、放棄した後も「現に占有している」と判断されるため、次の相続人や相続財産清算人に財産を引き渡すまでの間、自己の財産と同じ注意で保存する義務を負います。
なぜこういうルールになっているかというと、実際に管理している人が急に手を引いてしまうと、財産の状態が急激に悪化したり、近隣への被害が広がったりするリスクがあるからです。ぼくも最初は「放棄したんだから終わり」という感覚でいたんですが、このルールを知ってから、相続放棄の前後の行動についてちゃんと確認することが大事だと感じるようになりました。
実際に、放棄前に住んでいた長男が、相続財産清算人の選任まで約8ヶ月間、管理費用を自己負担し続けたという事例もあります。「放棄すれば楽になれる」と思って動き始めた分、余計につらかった……と聞きました。相続放棄を検討している方は、自分が「現に占有している」状態かどうかを、事前に専門家に確認しておくことをおすすめします。
相続財産清算人を選任するまでの対応手順


相続放棄後に「現に占有している」状態の方は、できるだけ早く相続財産清算人の選任を申し立てることが、管理義務から解放されるための現実的な方法です。
大まかな流れはこんな感じです。
- 相続の放棄(放棄の申述を家庭裁判所に行う)
- 相続財産清算人の選任申立て(被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる)
- 清算人が選任されるまでの間、現状を保存する(大きな変更を加えない)
- 清算人に財産を引き渡して義務が終了
空家特措法による特定空き家指定のリスク


相続放棄をしたとしても、名義変更が完了していなかったり、清算人が選任されていない間は、行政から管理を求められることがあります。特に気をつけたいのが、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)による特定空き家への指定です。
2023年の改正で、特定空き家に至る前の段階として管理不全空き家という区分も新設されました。以前よりも早い段階で行政が介入してくる可能性があるんですよね。庭の雑草の繁茂や、樹木の枯死放置、害虫の発生なども「管理不全」の判断要素に含まれます。
なお、全国の空き家数は2023年時点で約900万戸と過去最多を更新しており、空き家率は13.8%(約7〜8軒に1軒)に達しています(出典:総務省統計局『住宅・土地統計調査』)。この状況を受けて、行政の空き家対策は年々厳しくなっています。「うちだけは大丈夫」という感覚は、正直かなりリスクがあると思っています。
管理できない庭の現実的な4つの選択肢


遠方に住んでいて庭を管理できない、費用を出し続けるのが難しい、そういう方も多いと思います。管理できない庭に対して取れる現実的な選択肢を4つ整理しました。
状況に応じて、以下の4つの選択肢から検討してみてください。
- 管理業者への委託(月次巡回+草刈り・剪定を専門業者に依頼)
- 相続した家ごと売却する(相続登記の義務化に対応しつつ、最低限の庭整備で買い手をつけやすくする)
- 自治体への相談・相続土地国庫帰属制度の活用(建物がある場合は原則対象外なので要確認)
- 相続財産清算人の活用(全員放棄後に家庭裁判所へ申立て、財産の管理・処分を清算人に任せる)
相続した家の庭の管理義務を理解して備えよう


ここまで読んでいただいて、相続した家の庭に関する義務が、思った以上に複雑で幅広いことが伝わったかと思います。ぼくも最初は「庭なんて後回しでいい」と思っていたんですが、越境の問題や特定空き家のリスクを知ってからは、相続直後の確認作業の大切さを実感しています。
というわけで、この記事でお伝えしてきたことを、簡単にまとめておきます。
- 相続した庭には民法717条による工作物責任が生じ、所有者は無過失責任を負う
- 2021年民法改正(2023年施行)で、越境枝は一定条件のもとで隣人が自ら切除できるようになった
- 庭を放置すると損害賠償・近隣トラブル・特定空き家指定という3つのリスクがある
- 2023年民法940条改正で、相続放棄後の管理義務は「現に占有している場合」に限定された
- 管理できない場合は、業者委託・売却・清算人申立てなどの選択肢がある
ただ、法律の解釈や手続きは状況によって変わりますし、ぼく自身は専門家ではありません。庭の管理義務や相続放棄後の対応については、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。正確な情報や最新の法改正の内容については、法務省や各自治体の公式サイトもあわせてご確認ください。
というわけで、まずは「今の庭の状態を把握すること」から始めてみてください。それだけで、後のトラブルをかなり減らせると思いますよ。


庭じまいの業者選びについて詳しくまとめた記事はこちらです。











