空き家の固定資産税が6倍に?特別措置法と庭の管理義務をわかりやすく解説

ミホさん

実家が空き家になってるんだけど、固定資産税が6倍になるって本当?

Kさん

本当なんです。ただ、急に6倍に増税されるわけじゃなくて、もともとの軽減措置が外れる仕組みなんですよね。

ミホさん

軽減措置?どういうこと?うちは大丈夫かな…

Kさん

2023年の法改正で、対象になる空き家の範囲がかなり広がったんです。庭の管理状態も認定基準に含まれるので、「うちは大丈夫」と思っている方ほど、一度確認してほしいんですよね。

この記事を読むと分かること
  • 固定資産税が6倍になる仕組みと住宅用地の特例の関係
  • 特定空き家と管理不全空き家の違いと認定基準
  • 固定資産税6倍が適用されるまでの行政手続きの流れ
  • 庭木の越境と改正民法の関係、空き家放置のリスク
  • 特定空家にならないための庭の管理チェックと遠方からの管理方法
目次

空き家の固定資産税が6倍になる仕組みと基礎知識

空き家の固定資産税が6倍になる仕組みと基礎知識
  • 住宅用地の特例で土地の税負担がどれだけ軽くなっているか
  • 特例が外れると固定資産税がどう変わるか(数字で確認)
  • 特定空き家・管理不全空き家の違いと、それぞれの税制への影響

「固定資産税が6倍」という話、数字だけ聞くとびっくりしますよね。

でも実は、「急に6倍に増税された」わけではなくて、もともと受けていた軽減措置が外れるという話なんです。まずはその仕組みの前提となる住宅用地の特例から、順番に整理していきましょう。

住宅用地の特例で固定資産税が安くなる理由

住宅用地の特例で固定資産税が安くなる理由

日本では、建物が建っている土地(住宅用地)に対して、固定資産税を大幅に軽減する制度があります。正式名称は「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」といいます。

少し難しい名前ですが、内容はシンプルです。200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は、課税標準が評価額の1/6に軽減されます。200㎡を超える部分(一般住宅用地)は、評価額の1/3に軽減されます。都市計画税も同様に軽減の対象で、小規模住宅用地は1/3、一般住宅用地は2/3になります。

つまり、住宅が建っているだけで、土地の税負担がかなり小さくなっているんですよね。この特例は「家が建っている」という事実だけで自動的に適用されるもので、空き家になっていても建物が存在している限りは原則として特例が続きます。

条件課税標準年間固定資産税の目安
住宅用地特例あり(小規模住宅用地)評価額の1/6約7万円
住宅用地特例なし(特例除外後)評価額の1/1約42万円

たとえば、固定資産税評価額が3,000万円の土地があったとします。住宅用地特例が適用されていれば「3,000万円 × 1/6 × 1.4%(標準税率)」で、年間の固定資産税はおよそ7万円です。でもこの特例が外れると「3,000万円 × 1.4%」となり、年間約42万円になります。差額は年間約35万円。10年間放置すれば、それだけで約350万円の追加負担になる計算です。

これが、空き家の固定資産税が「6倍になる」と言われる理由です。増税ではなく、軽減措置が外れて本来の税額に戻るというイメージです。なお、ここで挙げた数値はあくまで一般的な試算の目安で、実際の税額は各自治体の評価額によって異なりますのでご注意ください。

空き家の固定資産税が6倍になる条件とは

空き家の固定資産税が6倍になる条件とは

空き家になったからといって、すぐに固定資産税が6倍になるわけではありません。住宅用地の特例が外れるのは、空き家が一定の状態に達して行政から指定・勧告を受けた場合に限られます。

住宅用地の特例が外れるのは、次の2つのルートです。

  • 特定空き家に指定されて勧告を受けたケース:住宅用地特例が完全に外れて、固定資産税が最大6倍相当に
  • 管理不全空き家に指定されて勧告を受けたケース(2023年改正で新設):特例が1/2に縮減され、税額は約2〜3倍に

どちらも「行政から勧告を受けた翌年度から」特例が外れる仕組みです。逆に言えば、勧告を受ける前の段階であれば、まだ特例は継続されています。

ちなみに、法律上の空き家の定義は「おおむね1年間使用されていない状態」が目安とされています。実家が空き家になっていて1年以上誰も使っていないなら、すでに法律上の空き家に該当している可能性があります。「空き家じゃないから大丈夫」と思っていても、実態として1年以上空いているなら、早めに状況を確認しておいたほうがいいと思います。

特定空き家の固定資産税が上がる認定基準

特定空き家の固定資産税が上がる認定基準

特定空き家とは、簡単に言うと「すでに危険な状態になっている空き家」のことです。法律上は「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」に基づいて定義されています。

以下のいずれかに該当する空き家が、特定空き家の対象とされています。

  • そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれがある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

具体的には、基礎や柱・屋根が著しく傾いていたり、外壁が脱落しそうな状態、不法投棄された廃棄物が大量に堆積しているケース、草木が著しく繁茂して隣地や道路に影響が出ているケースなどが含まれます。

「さすがにうちはここまでじゃない」と思うかもしれません。ただ、数年単位で放置すると、気づかないうちにこの水準に近づいていることも多いんですよね。特に木造の古い建物は雨漏りや腐朽の進行が速くて、誰も住んでいないと換気もされないので、カビや湿気による劣化も早まります。

特定空き家に指定されると、行政から助言・指導、そして勧告というステップを経て、最終的に固定資産税の特例が外れます。勧告を受けた翌年度から、税額が最大6倍相当になります。さらに勧告後も改善しなければ命令が出され、50万円以下の過料が科される可能性もあります。それでも動かなければ、最終的には行政代執行——つまり強制的な解体・撤去——という事態にまで至ることがあるんです。

また、建物だけでなく庭の管理状態も認定基準に含まれる点は見落とされがちです。草木が著しく繁茂して隣地や道路にはみ出している状態は、空家法の「景観を損なう」「生活環境の保全上不適切」に該当しうるため、庭の放置が特定空き家の認定につながるケースもあります。

管理不全空き家の税金はどう変わるのか

管理不全空き家の税金はどう変わるのか

2023年の法改正で新しく追加されたのが、管理不全空き家(管理不全空家等)というカテゴリです。一言で言うと「まだ特定空き家ほど深刻ではないが、このまま放置すれば特定空き家になりそうな空き家」が対象です。

たとえば、屋根や外壁に一部破損や剥落はあるけれどまだ倒壊の危険というほどではない状態とか、敷地の草木が隣地や道路にはみ出しているとか、そういったイメージです。ごみや廃棄物が一定量放置されているケースも、管理不全空き家の対象になりうります。

管理不全空き家と特定空き家の税制比較

  • 管理不全空き家に指定されて勧告を受けると、住宅用地特例が1/6から1/2に縮減(税額は約2〜3倍)
  • 特定空き家は住宅用地特例が完全除外(最大6倍相当)

改正前は「特定空き家に指定されなければセーフ」でしたが、改正後はその一歩手前の状態でも課税が強化される仕組みになっています。対象になりうる空き家の範囲が、以前より大幅に広がったんですよね。

2023年住宅・土地統計調査(総務省)によると、全国の空き家総数は849万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しています。(出典:総務省統計局『住宅・土地統計調査』)このうち賃貸・売却用や別荘等を除いた、いわゆる放置系の空き家は385万戸にのぼります。これだけの数の空き家が存在している状況で、自治体側も積極的に管理不全空き家の把握・指定を進めるようになっています。「自分には関係ない」と思える状況では、もうないかもしれません。

特定空き家と管理不全空き家の違いを整理する

特定空き家と管理不全空き家の違いを整理する

特定空き家と管理不全空き家は混同しやすいので、一度整理しておきましょう。

項目特定空き家管理不全空き家
対象の状態すでに危険・衛生上有害・景観を著しく損なっているこのまま放置すれば特定空き家になるおそれがある
法的根拠空家法(2015年施行)改正空家法(2023年12月施行)
税制上の影響住宅用地特例が完全除外(最大6倍相当)住宅用地特例が1/2に縮減(約2〜3倍)
特例が外れるタイミング勧告を受けた翌年度から勧告を受けた翌年度から
命令・代執行あり(命令違反で過料50万円以下)なし(勧告止まり)

どちらも「勧告を受けた翌年度から」特例が外れるという点は共通しています。ただ、管理不全空き家は2023年の改正で新設されたカテゴリです。「以前は対象外だった物件が対象になった」という変化が、この改正の最大のポイントなんですよね。改正空家法は2023年12月にすでに施行されています。「まだ大丈夫だろう」と思っていた空き家が、実は管理不全空き家の対象として自治体に把握されているかもしれません。そのリスクは以前より確実に高まっています。

空き家の固定資産税が6倍になるのはいつからか

空き家の固定資産税が6倍になるのはいつからか
  • 行政が動くステップと、固定資産税が増える具体的なタイミング
  • 2023年の法改正で何がどう変わったか(年表で整理)
  • 庭木の越境と改正民法の関係(2023年改正のもう一つの注意点)
  • 固定資産税以外の放置リスク(賠償・代執行・相続トラブル)
ミホさん

ところで、6倍になるって言っても、いきなりなるわけじゃないよね?

Kさん

そうなんです。行政との間にいくつかステップがあります。ただ「まだ先の話」と思っていると、気づいたときには手遅れになっているケースもあるんですよね。

空き家の固定資産税が6倍になるまでの行政手続き

空き家の固定資産税が6倍になるまでの行政手続き

固定資産税が6倍相当になるまでには、行政側にも一定の手続きがあります。流れを大まかに整理すると、以下のようなステップです。

ステップ1:行政による調査・把握

市区町村が空き家の実態を調査します。近年は自治体が空き家データベースの整備を進めており、固定資産税の課税情報や近隣住民からの通報、目視調査などを組み合わせて空き家を特定していくイメージです。「誰も見ていないだろう」は通用しなくなってきているんですよね。

ステップ2:助言・指導

管理不全や危険な状態が確認されると、まず任意の助言・指導が行われます。この段階ではまだ法的拘束力はなく、「改善をお願いする」段階です。ただ、この段階で自治体から連絡が来ている場合は、すでに問題物件として把握されているということ。放置し続ければ、次のステップへ進む可能性が高まります。

ステップ3:勧告

ここが最大のポイントです。勧告は法的措置であり、この勧告を受けた翌年度から住宅用地の特例が外れます。特定空き家なら最大6倍相当、管理不全空き家なら約2〜3倍になります。勧告はあくまで「改善を求める」段階ですが、税制上の影響はここから始まります。つまり、勧告を受けた時点で、すでに手遅れ感が出てくるわけです。

ステップ4:命令・過料

勧告を受けても改善しない場合、命令が出されます。正当な理由なく命令に従わない場合は、50万円以下の過料が科される可能性があります。これは特定空き家に限ったプロセスで、管理不全空き家には命令・代執行の規定はありません。

ステップ5:行政代執行

それでも改善がない場合、行政が強制的に解体・撤去などの措置を行います。その費用は所有者に請求されます。木造一戸建ての解体費用の目安は100〜300万円程度とされており、払えない場合は差し押さえに至ることもあります。

ステップ1から5まで一気に進むわけではありませんが、「まだ助言の段階だから大丈夫」と放置していると、あっという間に勧告に至ることもあります。ぼくが調べた印象では、行政側の空き家への対応は年々積極的になっていて、以前より「放置が通用しにくくなっている」という感じがします。

空き家の固定資産税が6倍になるのはいつからかを理解する

空き家の固定資産税が6倍になるのはいつからかを理解する

時系列で整理すると、法整備の流れはこうなっています。

時期内容
2014年11月空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)公布
2015年2月一部施行(空き家の定義・データ収集等)
2015年5月全面施行(特定空き家への勧告・命令・代執行が可能に)
2023年6月改正空家法成立(管理不全空家の新設など)
2023年12月改正空家法施行(管理不全空家への固定資産税特例除外が可能に)

特定空き家への対応(最大6倍)は2015年から始まっています。管理不全空き家への対応(約2〜3倍)は2023年12月から適用されています。つまり、「2023年以降は対象範囲が広がった」という認識が重要なんですよね。個人の空き家に固定資産税の増額が実際に適用されるタイミングは勧告を受けた翌年度ですが、現時点ですでに法律は施行されていますので、「まだ先の話」ではないんです。特に2023年以降は管理不全空き家の指定が積極的に行われるようになっており、「以前なら見過ごされていた状態」でも対象になりうる環境に変わっています。

庭木の越境と改正民法の関係

固定資産税の話から少し角度を変えて、空き家の庭木が隣家の敷地に越境している問題についても触れておきたいと思います。じつは2023年から、民法のルールも変わっているんですよね。

改正前の民法では、隣家の敷地に越境してきた木の「根」は自分で切れるけれど、「枝」は隣人に切除をお願いするしかなく、勝手に切ることはできませんでした。空き家の文脈でこれが厄介だったのは、所有者に連絡が取れなかったり、何度お願いしても対応してくれなかったりするケースが多かったからです。

2023年4月1日施行の改正民法(民法233条)では、以下の3つのケースに限り、越境してきた枝を自分で切除できるようになりました。

  • 竹木の所有者に枝の切除を催告したが、相当期間内に切除されない場合
  • 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない場合
  • 急迫の事情がある場合(倒木・落枝による被害リスクが高いなど)

連絡がつかない空き家の庭木が越境している場合、隣家の方が自分で切除できる状況になっています。空き家の所有者としては、早めに対処しておくことが大切です。

空家法との関係で言うと、同じ庭木の越境問題が民法(隣家の権利として枝を切れる)と空家法(行政が特定空家として介入する)の両面から問題になりうる構造があります。つまり、隣家が自分で枝を切る話だけでなく、行政からも指導が入る可能性があるということなんですよね。

「隣家が切ってくれるなら放っておいて大丈夫」というわけではなくて、越境している状態そのものが特定空家の認定要件に当てはまりうるので、所有者として対処する必要があります。「隣に迷惑をかけているかも……」と少しでも思ったら、早めに剪定や伐採を手配しておくのが、結局いちばん楽だとぼくは思っています。

固定資産税6倍以外に空き家を放置するリスク

固定資産税6倍以外に空き家を放置するリスク

固定資産税の増額だけでも十分に深刻ですが、実は空き家を放置したときのリスクはそれだけじゃないんです。ぼく自身、最初は固定資産税のことしか考えていませんでした。でも調べていくうちに、他のリスクのほうが金額的に大きくなる可能性があると気づいて、正直ゾッとしました。

固定資産税以外にも、空き家の放置によって発生しうるリスクは多岐にわたります。

  • 行政代執行と費用請求:強制解体・撤去で100〜300万円程度が所有者に請求される
  • 損害賠償責任:倒壊・外壁落下による民法717条(工作物責任)で数百〜数千万円規模の賠償リスク
  • 売却価値の下落:特定空き家に指定されると売却困難になり、数百万円単位の損失も
  • 相続問題との複合リスク:相続人間のトラブルや、相続放棄後も残る管理義務(民法940条)
  • 火災・犯罪リスク:放火・不法侵入の標的になりやすく、近隣への延焼で追加賠償リスクも

これらはあくまでも一般的なリスクの目安です。個々の状況によって大きく異なりますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。複数のリスクが重なったとき、総額は想像以上に大きくなります。

特に損害賠償については、火災保険に入っていない、または空き家状態では補償対象外になっているケースも多く、無保険のまま賠償責任を負うリスクもあります。また相続人が複数いる場合、固定資産税は共有持分に応じて全員が納税義務を負います。兄弟間で「誰が払うか」「どうするか」の合意が取れずにトラブルに発展するケースも少なくないんですよね。

雑草放置が引き起こす具体的なリスクの連鎖については、以下の記事で詳しくまとめています。

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固定資産税の増額を回避するための対策

  • 自分の空き家が対象になっていないか確認する方法
  • 特定空家にならないための庭の定期管理チェックリスト
  • 遠方からでも続けられる空き家の庭管理の仕組みづくり
  • 固定資産税6倍を避けるために今すぐ動くべき理由
ミホさん

仕組みはわかったけど、結局うちの空き家は大丈夫なのかな……。具体的に何をすればいいの?

Kさん

まずは現状のチェックから始めましょう。そのうえで、庭の管理を続ける仕組みを作っておくと、かなりリスクを下げられると思いますよ。

自分の空き家が対象か確認するチェックリスト

自分の空き家が対象か確認するチェックリスト

「うちの空き家は大丈夫かな」と思ったとき、何を確認すればいいか迷いますよね。以下は、管理不全空き家や特定空き家に該当するリスクがないかを自己確認するための簡易チェックリストです。当てはまる項目が多いほど、早めの対応が必要です。

以下の項目に当てはまるものがないか、確認してみてください。

  • 屋根や外壁に破損・剥落がある
  • 建物が傾いている、または傾いているように見える
  • 窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 草木が著しく繁茂し、隣地や道路にはみ出している
  • ごみや廃棄物が敷地内に放置されている
  • 1年以上、誰も居住していない(または使用していない)
  • 定期的な清掃や点検を実施していない
  • 市区町村から連絡や通知を受けたことがある
  • 近隣からクレームや苦情を受けたことがある

特に「市区町村から連絡を受けたことがある」という方は要注意です。すでに助言・指導の段階に入っている可能性があります。複数当てはまる場合は、管理不全空き家の対象として自治体に把握されている可能性もあります。

1〜2項目でも当てはまるなら、早めに対策を考えたほうがいいかもしれません。心配な場合は、まずお住まいの市区町村の担当窓口に確認してみるのが一番です。

特定空家にならないための庭の定期管理チェック

特定空家や管理不全空家に認定されないためには、庭の状態を「問題がない」と判断されるレベルに保つことが大切です。ぼく自身もそうだったんですが、「何をどのタイミングでチェックすればいいか」がわからないのが最初のハードルなんですよね。季節ごとの目安をまとめておきますので、参考にしてみてください。

時期チェック・作業内容
春(3〜5月)雑草の早期除去、樹木の新芽・枝の確認、隣地への越境がないか確認
夏(6〜8月)草刈り(繁茂が最も早い時期)、害虫発生源になっていないか確認
秋(9〜11月)落ち葉の清掃、樹木の剪定、倒木リスクの確認
冬(12〜2月)枯れ枝の処理、ブロック塀・擁壁の状態確認

年間を通じて最低でも2〜3回は状態を確認するのが、管理不全空家の認定を避けるうえでの目安になると思います。たとえば春と秋の2回だけでも、業者に草刈りと剪定を依頼しておくと、夏の繁茂がかなり抑えられます。

特に気をつけたいのが隣地・道路・水路への越境で、これは特定空家認定の直接的な要件になりえます。「建物は大丈夫だけど庭が……」という状態が続くと、近隣からの通報→市区町村の調査→管理不全空家の指定、という流れになりやすいです。敷地の外側から見える状態を意識しておくのがポイントだと思います。

地味に大切なのが、管理した記録を残しておくことです。「いつ草刈りをした」「いつ業者に剪定を依頼した」という記録があると、行政から問い合わせがあった際に「ちゃんと管理しています」という根拠として示せます。

  • 業者に依頼した場合は領収書や作業報告書を保管する
  • 自分で作業した場合は日付と作業内容をメモしておく
  • 写真を撮って日付と一緒に保存しておくのが最も簡単で確実

遠方からでもできる空き家の庭管理の方法

実家が遠方にあって、なかなか足を運べない……という方は多いと思います。ぼくもそのひとりで、片道2時間以上かかる実家の庭管理は「行けたときにまとめてやる」では追いつかなくなりました。結局、「行けないことを前提に仕組みを作る」という発想に切り替えたら、だいぶ気持ちが楽になったんですよね。

遠方からでも続けられる管理の仕組みとして、以下の方法がとくに使いやすいと思っています。

  • 年2〜3回の定期訪問を決め、帰省タイミングに業者の作業を合わせて立ち会いする
  • 近くに住む知人・親戚に写真を撮って送ってもらう、または空き家管理サービスの写真報告を活用する
  • 自治会や近所の方に連絡先を伝えておき、気になることがあれば教えてもらえる関係を作る
  • 防草シートや砂利を敷いて、雑草が生えにくい環境を作っておく

所有者に連絡できる状態を作っておくだけで、行政指導に発展するリスクをかなり下げられます。連絡先を記したメモを郵便受けや玄関などの目立つ場所に貼っておくだけでも効果があります。

防草シートの上に砂利を敷いておくと、見た目も整って景観上の問題も起きにくくなります。初期費用はかかりますが、その後の草刈りコストや手間を大幅に減らせるので、長期的に空き家を所有し続ける場合には検討する価値があると思います。業者に草刈りを依頼するタイミングで、防草シート施工も合わせて見積もりをとってみるのがおすすめです。

固定資産税の増額を回避するための選択肢

固定資産税の増額を回避するための選択肢

固定資産税が6倍になるのを避けるためには、「空き家をどうするか」を具体的に考えることが必要です。大きく分けると、売却・賃貸活用・リフォーム・解体・最低限の管理継続、という選択肢があります。

選択肢メリット注意点
売却リスクをまとめて手放せる。状態が良いほど高値になりやすい状態悪化後は買い手がつきにくい。早めに動くのがおすすめ
賃貸・活用住宅として使われれば特例が継続される大規模修繕が必要になるケースも。費用対効果を要確認
解体倒壊リスクや管理コストがなくなる更地になると住宅用地の特例が外れ、固定資産税は上がる
最低限の管理継続管理不全空き家への指定を遅らせられるあくまで「時間を稼ぐ」手段。根本的な解決にはならない

「売ること=負け」みたいなイメージを持つ方もいますが、ぼくはそうは思いません。リスクを手放して身軽になること自体、立派な判断だと思っています。なお、自治体によっては解体費用の補助金制度がある場合もありますので、お住まいの市区町村に確認してみてください。どの選択肢が最適かは、物件の状態や立地・相続関係などによって大きく異なります。具体的な方向性を決める前に、不動産の専門家や司法書士などに相談するのがいいと思っています。

固定資産税6倍を避けるために今すぐ動くべき理由

空き家の固定資産税6倍を避けるために今すぐ動くべき理由

「いつか考えよう」と思って先送りしているうちに、建物の状態は静かに悪化していきます。ぼく自身も、実家のことを「まだ大丈夫」と思って何年も放置していた時期があります。久しぶりに見に行ったとき、思っていた以上に劣化が進んでいて、かなりショックでした。建物は誰も住んでいないと、住んでいるときより劣化が早いんですよね。換気がされない、雨漏りに気づかない、草木が伸びても放置される……そういうことが積み重なります。

今すぐ動いたほうがいい理由は、大きく3つあると思っています。

まず、建物の状態が良いうちほど、売却や活用の選択肢が広がります。状態が悪くなってからでは、買い手がつきにくくなったり、修繕費が膨らんだりします。

次に、2023年の法改正以降は管理不全空き家の指定が以前より積極的に行われるようになっています。「以前は見逃してもらえていた」状態でも、今後は対象になる可能性が高まっています。

そして、固定資産税が6倍になってからでは、税負担が重くなった状態で焦って動くことになります。余裕を持って選択肢を考えられるのは、今だからこそなんですよね。

「放置してきたから今さら……」と感じる必要はありません。動き出す時期として、今は決して遅くないです。まずは現状を把握することから始めてみてください。物件の状態を確認して、市区町村の空き家相談窓口や不動産会社に話を聞いてみるだけでも、かなり状況は変わると思います。

  • 固定資産税が6倍になるのは増税ではなく、住宅用地の特例(最大1/6軽減)が外れて本来の税額に戻る仕組み
  • 特定空き家(最大6倍)と管理不全空き家(約2〜3倍)はどちらも勧告を受けた翌年度から特例が外れる
  • 2023年12月の改正空家法施行で対象範囲が拡大し、庭の管理状態も認定基準に含まれる
  • 庭木の越境は改正民法と空家法の両面で問題になりうる。所有者として早めの対処が必要
  • 季節ごとの庭管理チェックと管理記録の保存が、認定リスクを下げる実践的な方法
  • 建物の状態が良いうちに動くほど選択肢が広がる。まずは現状確認と市区町村の窓口への相談から始めるのがおすすめ

この記事で紹介した内容はあくまでも一般的な情報です。固定資産税の具体的な金額や、特定空き家・管理不全空き家への該当可否については、お住まいの市区町村や税務署、または不動産・法律の専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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